河口湖もみじマーチ

私は通勤ウォーカーなので河口湖に旅立つ金曜の朝も当然歩いて出勤します。二日分の着替えのみなら問題なかったのですが、今回は仕事の都合でパソコンと資料を持っていきました。普段より5キロほど重いリュックを背負って会社までの7キロを歩いたのですが、意外に普段よりずっと疲れてしまいました。5キロ程度の重量増がこんなに効いてくるとは本当に驚きました。

思えば長年の不摂生のツケである高血圧と糖尿と脂肪肝の対策のために始めた通勤ウォークでしたが当初の体重は94キロでした。歩き始めて1年で82キロまで体重が減少しましたがこの体重の減少は大変ありがたいもので、最初に比べるとより長距離をより高速で歩けるようになりました。足や膝への負担が劇的に軽くなっていったのです。体重や荷物の重量はウォーキングに大きな影響を与えることを再認識させられました。もっと体重を減らさなければならないとも感じました。

河口湖は東京都内からは特急を乗り継げば2時間半程度ですので仕事が終わって普通に電車で現地入りしました。このくらいが気軽で、しかも旅をしていると実感させてくれる距離として最適だと思います。10月は関東近郊のウォーカーにとっては恵まれた月間のようですね。宿に着いて早速会場の下見に出かけました。夜も遅かったのでメイン会場はすでに誰もいません。会場横の駐車場ではGH組がずらりと並んでいました。もしかするとかめさんやオレンジ隊がいるかもしれませんね。GHは自由でとても楽しそうです。私もいつかは参加してみたいと思います。

その日は12時過ぎまでパソコンで作業をして何通かのメールを出し終わってから寝ました。翌朝の5時におきると大ぶりの雨でした。昨日までの天気予報では大丈夫なはずだったのでちょっとショックでした。荷物の軽量化のために普段なら持ってくるはずのスパッツや雨具を置いてきたのが悔やまれます。どうやらウォーキングの旅に仕事を持ち込んだ事がすべての元凶のような気がします。もう重いパソコンなど持ち込まないと心に誓いました。

慌ててコンビニに行ってビニール合羽と傘を購入しました。そういえば歩きの神様かめさんのレポートの中でかめさんがコンビニの袋を利用して防水用のスパッツをこしらえて50キロをしのいだという記事を読んでいたので、会場でかめさんに教えてもらう事を期待して袋を多めに頂きました。しかし結果的には7時の受付開始の頃には雨はあがってしまい、せっかく慌てて準備したのに無駄になってしまいました。まあ雨が降ってない事がなりより幸せですが。

このかめさん直伝のコンビニ袋スパッツの製作方法をちょっと解説します。まず同じコンビニ袋でも材質が厚手のものを選びます。次にコンビニ袋を真っ二つにカットします。カットするラインですが袋の中央にある幅広のベロの中央を通る線でカットするのがコツです。さらに手で持つ手提げの部分も中央から切り離します。こうすることでコンビニ袋を半分にした袋から縛ることができる部分がベロと手提げの合計4本出ていることになります。

こうしてできた袋の半分の底の角の部分を靴のつま先に引っ掛けます。この際に手提げの部分は足首のところに来るようにします。前後方向に張力をかけながらかかとの下の部分でまずベロの部分を結びます。次に手提げの部分を足首に巻きつけて結んで完成です。最初はつま先の部分の接地面に袋が重なりますが少し歩けばすぐに破れて靴にぴったりとなじむそうです。かめさんの話では丁度良い大きさの袋を選ぶ事が大切で、ひもをしっかり結べば50キロは持つそうですのでいつか試してみようと思います。かめさんによると小さなはさみは大変重宝するそうでマメの対策なども針よりもはさみで水を出した方が治りが早いとのことでした。やはり神様の経験談は私のような新参者には値千金です。

もみじマーチ初日の朝ですが続々とCWのメンバーが集結してきます。さすが東京近郊の大会ということもあり多くのCWのメンバーの皆さんにお会いできました。そこで幸運にもYKさんを発見してさっそく朝のご挨拶を。YKさんはとても気さくな方で靴のお話や手袋のお話をお聞きしました。歩きの経験者の方々のお話はとっても参考になります。今後は自分のHPに皆さんからお聞きしたこうしたノウハウを保存しておこうと思います。

YKさんやSHさんやあのあのさんのアドバイスとして手袋は必ずしたほうが良いとのことでした。手のむくみ防止や転倒時の手の保護に有効との事でした。さっそく二日目にアドバイスに従ってコンビニで軍手を購入して着用してみましたが、実際にかなり効果があったので自分でも驚いてしまいました。また一つウォーキングのノウハウを習得できたことは本当に幸いです。

私の本職はエンジニアなのでなぜ手袋が手の浮腫みにこれほど効果があるのか動作原理を歩きながら考えてみました。手袋全体の圧力によって手全体毛細血管を締め付けて浮腫みを防ぐという原理を当初は想像したのですが、ちょっと考えてみるとすぐに違う事に気づきました。まず軍手などのルーズな手袋では殆ど皮膚に圧力はかかりません。仮に相当小さい手袋をはめたとしても止血できるほどの圧力を得ることは不可能です。

歩きながら手を握ったり開いたりしながらよーく観察すると手を握ったときに指と指の間のマタの部分に手袋が食い込むのに気が付きました。なるほど!手袋をはめて手を握る事により指のマタにある動脈が締め付けられて血流を制限して浮腫みを和らげる事がわかりました。YKさんやSHさんは指が露出するタイプの手袋をお使いですが、指の又の部分にさえ布があれば効果がある事の証明ですね。

この原理からするとなんでも良いから手に握っていさえすれば効果が期待できると思います。道中でCWの皆さんからもむくみに関するアドバイスを頂きましたが地図やペンなどの小物を握っているだけでも効果があるそうです。要は握ることで動脈が圧力を受ければ効果があるという事らしいです。そう考えると理想的なウォーキングのフォームは手を握ってこぶしを心臓の高さにしてひじを曲げてコンパクトに振るというスタイルだった事を思い出して妙に納得してしまいました。このフォームはむくみ防止という観点では大変理にかなったものだったのです。

道中ではかめさん、オッパーさん、いっちゃん、とんぼさんなどと楽しく一緒にお話しながら歩く事ができました。みなさんそれぞれが色々な経験をお持ちで、歩きながらお話していると本当に勉強になります。特にかめさんは人生の先輩でありエンジニアの先輩でもありまたウォーカーの先輩でもあるわけで2時間ほどご一緒させて頂いて大変に楽しい時間を過ごす事ができました。

普段のサラリーマン人生の中でも人と話す機会は多々ありますが結局はグチが多かったり何らかの利害が絡む話だったりと面白くない時間も多いものです。その点ウォーカーの皆さんとの会話は全く純粋であり愛に満ちています。人生の先輩の皆さんの経験談などを素直に受け入れられる気持ちになるのは、やはりウォーカーの皆さんは人生のキャリアを十分に積んで、ある意味で悟っている方々が多い事が要因なのでしょうか。

初日の40キロは同行者に恵まれたおかげで殆ど一人で歩く事がありませんでした。おかげで雨も全く気にならないうちにあっという間にゴールに到着できました。これほど40キロを短く感じた事はありませんでした。普段の週末に自主的に歩くウォークではまず歩く意思を持続させる事が課題なのですが、やはり大会に参加して歩ける事は幸せですね。

2日目は私の職場の仲間が参加する事になっています。私と彼は20年以上の付き合いでまあ弟みたいなものですが、彼にとって長距離ウォーキングは始めてですので私としてはなるべく楽しく歩いてもらってウォーキングの世界にはまってもらいたいとたくらんでいました。そこで2日目は自分のわがままを捨ててすっかり指導員モードです。息子の時のように体力の差に愕然とする事は無いとは思いますが・・・

朝から快晴でした。朝起きて部屋から見える富士山は生まれて初めて見るすばらしい雪化粧でした。友人もこの景色を見れただけでも来た甲斐があったと言ってもらえたのでちょっと肩の荷がおりました。旅館で朝食をしっかりとって会場に向かいます。

河口湖の二日目は40キロと20キロのスタートが同時刻でしたので両コースの参加者が一同に集まって大変な賑わいとなっていました。CWの皆さんとも朝のご挨拶をさせて頂いて記念撮影を少々。とにかくCWのメンバーの方々は誰よりも歩く仲間が多いようでひっきりなしにいろいろな皆さんが挨拶に訪れます。まさに朝の挨拶の中心地だったのですが、キャリアを重ねる事により自然とこうなるのですね。友人もこうした年代を超えた交流の輪に目を丸くしていました。結構な事です。

地図を見ながらどちらに参加すべきか検討をしましたが悩んでしました。私は今日は忍野八湖をどうしても見たかったので40キロを歩きたかったのですが友人は初めてのウォーキングだったので彼が無理なく歩いてウォーキングの楽しさを味わってもらうため涙を飲んで20キロ参加にしました。やはり長い目で考えると一人でも多くの人にウォーキングの楽しさを知ってもらうためのエバンジャリストに徹する事にしましょう。忍野八海は来年また観に行けば良いのですから。

私はフライフィシングを楽しみます。自分でフライを巻いて北海道の自然の中を歩き回りスポーツとしての釣りを楽しむのですが、フライの楽しさを人に教えるために自分だけのシークレットなポイントを確保しています。もちろん季節や水温や時間帯など様々なパラメータが絡み合う釣りなのですが条件さえ揃えば初めてフライに挑戦する初心者でも必ず釣らせる自信があります。このポイントを利用して今までかなりの人間をフライ道に誘ってきました。趣味とはそういうものだと思います。

スタート直後に20と40の分岐でしたのですごい渋滞と大混乱でした。一部の方々はコースを間違えた方もいらしたようですが、ここは冷静に地図を確認して20キロコースをスタート。前半は富士山を真正面に見ながらの緩い登りが続きます。適度な負荷と少し低めの気温と雄大な富士山が手助けをしてくれて友人はすでにウォーカーズハイの状態になっていてニヤニヤ微笑みながら歩いています。結局なにも私がサポートする必要がありませんでした。まさにこの河口湖と富士山の大自然という環境が最も強力な宣教師だったのです。

このあと終始にこやかに歩き続けてあっという間にゴールしてしまいました。コース途中で富士山ビジターセンターで十分に見学する時間を取ったのですが11時頃にはゴールしてしまいましたので、当然CWの皆さんはまだ40キロを歩いている最中です。このままここでイエローシートのご開帳まで待ちたかったのですが、友人の彼も結構なハイペースで歩いてきたので、さすがに疲れている様子でした。「ゆっくりゆっくり」「あせらずにマイペース」といくら声をかけてもやはりどうしても競争心が頭をよぎるのでしょう。息子もそうですがどうしてみんな先行しているウォーカーを基準に急ぎたがるのでしょうか?

私は通勤ウォーカーであり普段は一人で歩いています。週末も40キロから50キロを一人で歩く事も多くてペースに関しては完全にマイペースで歩く事に慣れてしまっています。息子にしろ友人にしろやはり競争したいという本能のせいで早歩きで対抗してしまうのですね。もちろんそれはそれで歩くためのモチベーションとしては素晴らしい効果を発揮するので悪くはありませんが、いたずらに体力や筋肉に負担をかけてしまうので、コツコツ毎日歩きつづける私にはとっては同行するのがちょっときびしいというのが本音です。正直予想以上のハイペースに付き合って私自身もちょっと疲れていました。

友人が疲れている事を良いことに、もっけの幸いと近くの日帰り風呂でゆっくりとストレッチとサウナで筋肉をケアしました。その後にビールを飲み干して友人と話していたらなんと次回の大会にも参加したいとの申し入れがありました。ガイド役としては最高の嬉しい言葉ですね。彼は鹿児島の指宿出身なので(なんか話が出来すぎている感じですが・・・)今度の日本3DMは里帰りするので参加できませんが、その次の12月の沖縄と1月の指宿には一緒に参加する事になりました。特に指宿は彼の実家でもありますので宿やその他でのサポートが期待できるのが嬉しいです。(決して彼が指宿出身だからウォーキングに誘ったわけではありませんので誤解のないように・・・)

いつも感じている事ですが、たった一人で歩く通勤ウォーカーだった私が参加を重ねるごとに色々な人々と知り合いになれて自分の世界が広がっていくウォーキングという趣味は仕事社会には無いすばらしい魅力を持っていると痛感しています。今回もCWのメンバーの皆さんと歩きながら、あるいは懇親会で色々なお話をさせてもらって大変幸せでした。職場にも一緒に歩いてくれる仲間も増えました。自分の行った事の無い土地で未知のコースを歩ける楽しみも知りました。初めは体の健康を目的に歩き始めた私ですが、今は精神的にも大変健康になってきています。

こうした気持ちになれた事を皆さんに心より感謝します。ありがとうございました。

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