観音だるまマーチ 雑感

いよいよ金曜の夜だ。仕事も早めに一段落したのでいそいそと新幹線で高崎に向かう。車内は殆どが通勤客なのでリュックをしょったスポーツウェア姿の私は完全に浮いていた。それにしても高崎は近い。1時間弱で到着してしまった。こんなに近いのなら明日の朝に通いでも十分にスタートに間に合ったかもしれないが、初めて訪れる街である高崎の探検も期待して前泊とした。

駅に着いたのは良いが初めての町で右も左もわからない。とりあえずは駅を出て主会場を目指して夜のミニウォーキングとなった。街のどこからでも見える馬鹿でかい高崎市役所のおかげで会場は簡単に見つかった。すでに会場は設営されていたがまだ何人かの運営の方々があれこれ作業をしていた。夜遅くなのにまったくご苦労様である。どこでも主催者の努力は空気のように感じるが誰かが地道に作業しなければ大会は開催されない。

次は宿を探す。20分ほど市内を散策して発見したが結構立派なホテルで驚いた。インターネットを利用して予約すると1泊6000円だが電話だと1泊7000円になるらしい。不思議な料金体系だ。散策の過程で主会場のすぐ近くに1泊4500円のビジネスホテルを発見した。インターネットで予約できるとは思えない古びたホテルだが寝るだけならこれで十分だ。次回からはここを利用しよう。かめさんやオレンジ隊のようなグラウンドホテルが最も気軽で安価だが単身赴任の私には車がないので残念ながら安宿を利用せざるを得ない。毎回こうして各地を訪れるたびに穴場の宿を記録しておけば今後の役に立ちそうだ。

ホテルにチェックインして近くの居酒屋で夕食をとり飛び込みのスナックで軽く飲んでから床についた。次の日の朝5時半に起床して近くのコンビニで朝飯と昼の弁当を仕入れる。なぜかコンビニおにぎりは梅だけが品切れになってる。やはりウォーカーが多く泊まるエリアのコンビニでは疲労回復と殺菌効果の高い梅のおにぎりの競争率は相当高いようだ。

会場では皆さんがどんどん集まって来ていた。初対面のかめさん、SHさん、あのあのさんnoppoさんやいつもの皆さんに朝のご挨拶。さすが東京に近い大会と言うこともあり皆さん勢ぞろいされている。どの顔も今日の天気の良さに満面の笑顔だった。出発まで時間があったのでディクトンスポーツのブースで無料サービスを受けた。

このディクトンスポーツは関東近郊のウォーキング大会では必ずブースを出すので周知だとは思うがいわば塗るテーピングである。使い方のポイントは皮膚がさらさらになるまで3分間ほど足の裏全体に擦り込む事である。ワセリンのようにただ塗ってベタベタしている状態では効果は期待できない。意外といけてるお薦めなマメ対策グッズである。

いよいよスタートとなった。SHさん、ふらのっち、あのあのさん、noppoさんの快速グループの歩きは半端じゃなく早い。あっという間に置いていかれてしまった。うーんやはりもっとトレーニングを積んで体重を落として全体の負担を軽くしなければ道中で彼らとお話できるチャンスは全くなさそうだ。また一つ新しい目標ができた。1日目の40キロコースは全体的になだらかで実に歩きやすいコースだった。随所に高崎の福祉専門学校の生徒が紅白の旗で誘導していた。また市内から距離のある丘陵地帯では地域の方々がボランティアで誘導していたが、誘導員のみなさんの挨拶も元気で気持ちがよく運営サイドの気合が感じられた。私は精一杯彼らに挨拶をして感謝の気持ちを表した。

楽しいウォークも無事完歩してゴールでの乾杯となった。先着隊のあのあのさんやふらのっちから差し出されたビールは実に美味だった。これが噂のゴール!ビール!の味だったのか。あとはおなじみの皆さんとの芝生の上での打ち上げに突入である。いままで一人で歩いてきた私にとっては初めての経験であり感動的でもあった。私は歩くために大会に参加していたが皆さんは歩くこと自体は言ってみれば副次的なものであり実はメンバー同士の交流を大切にしていることがよく理解できた。

今回は黄昏オジサンやとんぼさんをはじめClubWalkingの皆さんと初めてお会いする事もできた。普段は掲示板や写真でしか見る事がなかった方々と直接お会いできて光栄だった。特に黄昏オジサンによる川口見沼と、もたさん企画の東京駅ウォークの瞬間移動の謎に関してタネあかしをして頂いて驚いた。それは仲間を気遣う優しさ一杯のマジックだったからだ。実際には事前に綿密に計画された行動であり健脚のなせる技だとも言えそうだ。詳細はここでは伏せておくことにする。

今日の懇親会は海野さんご夫妻とかめさんの表彰があると聞いていたので朝からチケットを確保しておいた。会場は私の泊まっているホテルのすぐ近くなので一度ホテルに戻ってシャワーを浴びてちょっと休んでおこう。しかしウォークの後のビールは自分で思っていた以上に効いていたようだ。ちょっとベッドでウトウトとしたつもりが気が付けばとっくに懇親会が終わっている時間になっていた。目覚しをセットしたつもりだったがなぜか止まっていたのだ。なんたる不覚。仕事社会でこんなミスを犯せばたちまち信用を失ってしまう。本当に申し訳なかった。

二日目も朝から晴天だ。コースのレポートは他の皆さんに譲るが正直言ってかなり山道はかなりつらかった。普段は平坦な歩道しか歩かない通勤ウォーカーにとってはこうした階段状の山道はなじみがなくて高々2,3キロの道のりだが苦労した。やはり普段の通勤ウォークのコースをもうすこし工夫しなくてはならないようだ。明日からはもう30分ほど早起きをしようと心に誓った。

山道を抜けるとそこは平坦な田園地帯だった。いつもの通勤ウォークで気持ちよーく歩いていたら東松山から来られた方とお会いできた。彼は運営サイドで通訳のボランティアをしていて毎年30キロコースを歩きながら外人相手に名所旧跡の案内を買って出ているそうだ。ただでさえウォーキングをする人の中で英語を話す人は少数派なのに、30キロコースを一緒に歩く通訳という存在は大変貴重な方だと思った。

その方とは日本3DMの3日目の仮設橋は本当はいつもあると便利なのだが流されてしまうので即日に取り壊されるというお話や、東松山の焼き鳥の話で盛り上がった。あの辛く甘い豚肉はビールの最高の友である。あと一月でまた味わえると思うとよだれが出てきた。どこか東京都内であの味を楽しめる所はないのだろうか?あれば是非教えて頂けたら幸いだ。

毎回歩いていると不思議なものでいつも道中でお会いする方は大体同じような距離のところでお会いする事が多いように感じる。最後尾からスタートするスピードが速い方が私を抜いていく場合も毎回だいたい決まった距離に思う。結局は巨視的に見れば殆どの参加者が自分のペースを守って歩いているので結局ゴール付近になると微視的な誤差が相殺されていつも同じシーンを目撃するのだろう。まったくウォーキングとは不思議なものだ。

今回の大会は天気に恵まれて色々な出会いがあって幸せだった。この感動を大切にして今後も歩き続けていきたいと思う。もう一人ぼっちの通勤ウォーカーとはお別れのようだ。

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