北海道ツーデーマーチ 親子珍道中

念願かなって息子と洞爺湖を歩けました。息子と歩いた二日間はとっても有意義なものでした。ウォーキングにおける「歩いているあいだの時間」というのは他のスポーツには見られないすばらしい価値があるものだったと感じました。おかげで息子はこの二日間でちょっとだけですが成長したような気がします。以下はその顛末です。

金曜の夕方の便で札幌入りして自宅に泊まり土曜の朝の午前4時半に起床しました。早速息子を起こしましたがなかなか起きてくれません。一緒に行く約束でしょ?と説得してしぶしぶ起きてくれましたがちょっと不機嫌です。これからの二日間がちょっと不安になりました。

札幌から洞爺湖まで2時間の道のりです。息子は初めてウォーキング挑戦なので20kmコースを選択しました。途中のコンビニでおにぎりを買って車内で食べて時間の節約です。息子はずーっと無口で殆ど座席で眠っていました。中学生にもなれば無愛想なものですね。

会場に到着して受付を済ませてゼッケンを受け取りました。私にとっては歩いている最中に気軽に声をかけてもらうためにゼッケンに一言を記入するのは当たり前ですが息子は空白のほうが良いと言い出しました。まったく困ったものです。歩き始める前にずいぶんと障害があるものですね。やっと説得して私は「親子で歩いています」息子は「自然を楽しみながら歩いています」と記入しました。

いよいよスタートです。歩き始めは息子も張り切って前へ前へパスしていきます。あまりペースをあげると筋肉痛やマメなどのトラブルの原因になるので、「競争じゃないのだからのんびり行こうよ」とペースを押さえます。しかしそこは若さのパワーが勝っていて結果的に先頭付近までやってきました。20キロとはいえさすがに先頭の方々は普段から歩き慣れているので相当なスピードで歩いています。さすがに息子も簡単には追いつけないと悟ったようで追いかけるのをあっさり諦めてくれました。やはり口で言うより実際に実力の違いを見せつけるのが良いようです。それからは自然を楽しみながら歩くようになってくれました。(それでも時速6km強くらいのペースでしたが・・・)

道中は色々な地域から洞爺に来られた方々にお声がけしながら歩きました。やはり息子の背が高いので「大きいねー」とか「親子で良いですねー」などと声をかけられたり「何かスポーツしてるの」というまさに息子にとってツボにはまる質問に上機嫌です。ウォーキングの効果で気持ちが良くなっているのに加えてだんだんと会話に慣れてきて愛想が良くなってきました。私にとってはまさに狙いどおりです。よかったよかった。

上り坂にさしかかり私にとってはちょっと負荷がかかってペースダウンしましたが息子にとってはなんでもない負荷のようでどんどん離されていきます。自分のペースで歩けば無理なく歩けると分かっているのですが正直言ってくやしいかったのでちょっと無理をしてペースアップしました。自分としてはパワー的には余裕があったのですが10キロあたりで左足に違和感を感じました。やはり無理がたたってこんな短距離でマメができかかっていたのです。

このままのペースで行くと明日はマメでちょっと歩きにくくなるが親としての見栄もありちょっと困ったなーと思っていたら運良く登りが終了して10キロのチェックポイントに到着しました。息子にとっては初めての接待でしたので好物の「わかさいも」をタダでもらってこれまた上機嫌でした。

このチェックポイントでは先発のオレンジ隊の皆さんと遭遇しました。いつ見ても仲良し家族ですね。ほほえましいです。息子はすぐにスタートしたかったようですが私のマメ対策の為に「アイスクリームを食べよう」とおいしい物で釣って休憩としました。食べている間にクールダウン&乾燥&靴下チェンジ&ディクトンで対策をしました。それにしてもウォーキング途中のアイスクリームは格別ですね。

後半は平坦な田園地帯を二人だけで歩く事が多くなりました。すばらしい天気や風景を楽しみながら学校の話や進学する高校やゲームの話をしながら歩きました。私にとっては至福の時でした。このままずーっと歩きつづけていたいと思いました。

噴火湾を望んでゴールまで下り坂が続くようになりました。ラスト1kmくらいで息子はパワーがあまっているせいか「ゴールで待ってるよ」と言い残して殆ど走っている状態にちかいペースで飛ばしていきました。今までは親に合わせてゆっくり歩いていたのですね。「ウォーキングなんだから走ってはいけないよ」と注意したのですが急な下り坂ということもありあっという間に視界から消えていきました。

ゴールで再会した時には息子はすでに2杯目の豚汁を食べ終わった頃でした。とてもうまいと喜んで食べて結局は3杯も平らげてしまいました。「元気良く歩いた後は何でもおいしいんだよ」と言ったら「ウォーキングって楽しいね」と言ってくれました。とてもうれしい気持ちで一杯になりました。親を喜ばせるお世辞だろうとは思いますがいろいろな意味で息子の成長を実感できた一瞬でした。

ストレッチの後しおさい温泉に入って心身共にリラックスしました。風呂の中はウォーカーで一杯でそこで知り合った方々と東松山の話や支笏湖36kmウォークの話で盛り上がりました。息子は全く疲れていない様子で明日は30kmに挑戦しようと言い出しました。若さのパワーは思った以上に強力です。最後の下りでちょっと無理をしたせいか結局小さなマメが出来てしまった私は明日の朝の調子を見て考えようと答えておきました。さて明日はどうなることでしょうか?ちょっと不安です。

夕方からはお楽しみの懇親会です。オレンジ隊の皆さんがスーパーマスターを受賞する会場は熱気に包まれていました。300人程度の出席者だと思います。今回はスーパー受賞は海野さんご夫妻も含めて結構な人数が対象でしたので表彰は2回に分けて行われました。司会者もオレンジ隊の皆さんをご存知だったようで意図的に盛り上げるためにオレンジ隊は2回目のグループでの表彰となりました。

表彰の時に私は札幌の歩く会の皆さんのテーブルにおじゃましていたのですが、私のテーブルのメンバーも揃ってひときわ大きな拍手を送っていました。また表彰後の写真撮影の多さやその後の宴会でもオレンジ隊の周りには常に人だかりが一杯で改めてオレンジ隊がウォーキング界のトップアイドルである事を認識しました。とにかく会場で一番オーラが発散されているテーブルでした。

そうしたオーラに圧倒されてなかなか近づけずにいたのですが夢男さんがわざわざ私のテーブルまで迎えに来てくれました。こんな私の事を気にして頂いてとても嬉しかったです。テーブルではCWのメンバーを紹介してくれました。短い時間でしたが皆さんと少しだけお話させて頂きましたのでその第一印象を一行で書いてみたいと思います。

のりちゃん:慎ましやかで誠実な印象でした。Beatlesのお話をさせて頂きました。

ふらのっちさん:さわやかな笑顔が印象的な好青年とだと感じました。

としおじちゃん:若々しく優しそうな印象でした。面倒見がとても良いという感じでした。

オッパーさん:赤いエネルギーの塊が近づいてきたので紹介される前にオッパーさんとわかりました。

なにか皆さんのパワーに圧倒されてしまってあまり長居は出来ませんでしたが皆さんとお会い出来て本当に嬉しかったです。ますますウォーキングを続けていきたいと思った懇親会でした。札幌の歩く会の方々もそうですが歩く仲間というのは皆さんが毎回の出会いを精一杯大切にしているなーと感じました。そのせいもあってどのテーブルもあっという間にお酒が無くなっていました。

二日目の朝は6時前に起きました。昨日のマメの手当ては万全できれいに治っていましたので歩くのに不安はありません。昨日は20kmを余裕で完歩した息子を起こします。普段はあんなにぐずぐず起きない息子がなんと一発で起きてせっせと歩き支度を始めます。やはり昨日歩く楽しさを理解したようでかなり気合が入っているようです。今日は30kmを歩こうと言われてうーん困りました。

もちろん私としてはマイペースで歩けば30kmでも問題なく歩けるでしょうが、長距離ウォーキング初体験の息子が楽しくウォーキングするためには20kmか30kmかは大きな選択です。昨日の様子からすると息子は先頭を歩きたがるのは明白です。20kmコースであれば必要以上のハイペースで歩いてもトラブルが起きる前にゴールできますのでまず問題は無いでしょうが、30kmコースともなれば山坂も多く慣れたウォーカーがハイペースで飛ばしますので息子が楽しくゴールできるかどうかは微妙なところです。

本音で言えば息子を気遣うというフリをして息子のハイペースについていけるだろうかと自分が不安になっていたのでした。いろいろ考えた結果やはり20kmを選択することにしました。そうと決まれば簡単です。ホテルの朝食バイキングは7時からですのでそれを理由に30kmの出発には間に合わないというストーリーで行くことにしました。まったく大人というのはズルいものです。

バイキングで朝食をたっぷり食べた後に会場に入りました。殆どの皆さんは30kmと20km先行で出発した後でした。運良くのりちゃんにお会いできましたのでスタートからしばらくお話させてもらいました。東松山のクリーンウォークのお話やビートルズのコピーバンドの話で楽しく歩けました。もっとのりちゃんと話しながら歩きたかったのですが息子が先頭を追いかけたいと言うのでチェックポイントでの再会を祈念してペースを上げました。まあここでゆっくり行こうよ言ってもムダだと思い黙って一緒に行くことにしました。

驚いた事に息子のペースは思ったより早いもので、上り坂になっても全くスピードが落ちないのです。正直いって私にはかなりきついです。いつの間にか20kmの先頭を歩くようになりました。30kmとの分岐点に着くと息子はいまから30kmコースを追いかけないかと誘ってきます。このハイペースでは私がついて行けないのでなんとか勘弁してもらいました。私の都合で息子にはなんだか申し訳ない事をしたかもしれません。

しばらく歩くと昨日に引き続き先行していたオレンジ隊の皆さんと遭遇できました。仲良し5人組は余裕のエンジョイウォーキングですね。私たちの方は息子のペースで引っ張られるスポーツウォーキングが続きます。天気も最高で景色もすばらしい田園地帯をあれこれ話しながらハイペースで歩くのも楽しいものです。あっという間に北の海記念館に到着して息子は接待豚汁を昨日に引き続き3杯平らげていました。歩いた後の豚汁は最高だそうです。

私は昨日のマメがまた再発してきたので入念に手当てをしていました。それを見た息子があとゴールまでちょっとだからゆっくり行こうよといってくれました。まったくどっちが保護者だかわかりません。親としてまたウォーカーの先輩としての面目はありませんが息子がやさしい気遣いをしてくれる年になってくれたことが内心とても嬉しかったです。

休憩の意味で北の海記念館をじっくりと見学したところで、またオレンジ隊の皆さんと遭遇しておしゃべりさせてもらいました。その後は私のペースでのんびり歩きます。温泉街が見えてきました。さあゴールまではもうすぐです。結局11時半頃にゴールとなりました。ゴールでは息子としっかり握手をしました。とてもいい笑顔でした。本当に連れてきて良かったです。

結局今回のウォークでは息子との体力の差がよーくわかったという事です。20kmを平均7kmのスピードで歩いても疲れもしないしマメもできない。坂でもスピードが落ちないという事実にちょっと驚きました。東松山では今度こそ30kmを歩こうということになりました。今から日本スリーデーをすごく楽しみにしているようです。今回無理して誘った甲斐があった訳です。親として息子がウォーキングの楽しさに目覚めてくれた事は嬉しいのですが問題は果たして今後のウォークで息子と一緒にペースについて行けるかどうかです。正直言って不安です。

帰りの車の中で息子はずっと眠っていました。家の近くのサウナに寄ってリフレッシュして家に戻りました。その日の夕食はとてもおいしくて今回のイベントの話題も弾みました。今後の課題は私は普段通勤でしか歩かないので東松山に向けて少しトレーニングを強化しなければならない事です。オレンジ隊の皆さんの楽しさに触発されて念願の親子ウォークは実現できましたが、そのおかげで自分ひとりで歩いている時には必要なかった新しい目標ができたようです。それもまた楽しいものですね。

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