加古川ツーデーマーチ

加古川への旅は日本スリーデーからたった4日後の金曜からはじまりました。いつものように早めに仕事を済ませて新幹線に飛び乗ります。前日の飲みすぎの疲れからかすぐに寝てしまいあっという間に西明石に到着です。西明石から在来線に乗り換えて加古川まで向かいました。全国の大会への移動する際の時間は私にとっては仕事を忘れて自分自身を考え直せる貴重な時間です。旅に出るたびにそれまでの仕事の悩みを一度リセットできるのがとても嬉しいものです。

加古川の到着後すぐに宿に入りました。今回の宿は加古川プラザホテルという会場からすぐ近くの、ごく普通のビジネスホテルです。確かに宿泊費も安く会場にも近いので便利な宿なのですが、せっかく歩きに来たのですから交流のチャンスがあって欲しいと思います。鳥海の鶴屋旅館、東松山の上沼旅館のようなアットホームさを求めるならやはり旅館ですね。みなさんは地方遠征の際にはホテル派でしょうか?それとも旅館派でしょうか?

私はウォーキングを始めるまでは徹底したホテル派でした。自由なチェックイン時間や完璧に保たれるプライバシーやマイペースでの食事などに価値を感じていたからです。また夜にちょっと特殊な番組などを自由に見たり入浴はシャワーでさっと済ませる事を美徳としていました。ところがウォーキングを始めてからは全く逆の価値観になってしまいました。まずウォーカーは夜テレビを見るという行動はしない事に気が付きました。早めに床について体調を整えて翌日の長距離ウォークに備える事をまず第一に考えます。また入浴もシャワーだけで済ませるのではなく、やはりゆっくりと足を伸ばして湯船に浸かりたいと思いますし、食事も大会の出発時間に合わせて早めに用意されているほうがずっとありがたいですし、早朝からごそごそと歩く準備をするのにもウォーカーが同室であれば同時に行動できるので気兼ねがありません。

ただ残念な事に地方大会での宿泊先は会場から近い旅館から先に埋まっていくようです。従ってこうした旅館の宿泊者は、かなり先まで予定を決めて早めに準備しているウォーカーが中心となるわけで、なおさら旅館での交流は内容の濃いものになっていくのもうなずけます。また大会期間中は日本ウォーキング協会から紹介された宿泊者だけを受け入れるという方針の旅館も多く、直接旅館にコンタクトしても予約を受け付けてもらえない事も多いようです。ですから私のように直前に参加を決める通勤ウォーカーにとって旅館での宿泊は願ってもなかなか実現しないあこがれでもあるのです。

ホテルに宿泊した場合には唯一の交流は夜の繁華街での食事になります。以前高崎で高崎ビューホテルに泊まったときにも一人ぼっちで部屋にいても仕方が無いので高崎の夜の町を散策しました。高崎の繁華街は結構どぎついサービスの店が目立ちましたが加古川は逆にあまり店がありませんでした。意外と居酒屋が少なくてスナック風の店が目立ちました。それぞれの大会の開催地の夜の繁華街に特徴があって実に楽しいものです。まだまだ現役の通勤ウォーカーにとっては、とっても楽しい冒険の時間です。結局は小料理屋風のお店に入って食事をとってからスナックに入ってみました。結果的には大変良心的ですばらしいおもてなしをしてもらったのですが、どちらのお店の人も札幌からわざわざ歩くだけの為に加古川に来た事が信じられない様子でした。いくら説明しても決して信じてもらえないので慣れっこになっていますが・・・・あまり遅くならないうちに宿に戻ってゆっくりと休みます。ウォーカーの朝は早いのです。

翌日の朝はいよいよ大会の一日目です。受付を済ませてゼッケンを記入していると隣にはかめさんがいました。40キロコースの出発はCWのアクティブメンバーのYKさん、ホホエミさんなどがスタンバイしています。YKさんは新春に開催される「なにわウォーク」の幹事さんですので例によって宣伝のための大きなプラカードを下げています。スタートを待っているとふらのっちさんが登場です。なんと彼はサンライズ瀬戸という寝台で加古川まで来たそうです。ちょうどスタートの20分ほど前に会場に到着するタイミングの良さでした。前泊するのと比べて宿代がまるごと節約できるメリットがあり、寝台が車両の横方向なので電車の揺れが心地よく、しっかりと熟睡できたとの事でした。やはりこうした地方参加のノウハウは大変貴重なものですね。さすがは地方症のふらのっちですね。

いよいよ初日の出発です。加古川は平野にある街なのでコース自体は変化に富んでいますが全体的に平坦で大変歩きやすい印象でした。特に途中の河川敷のマラソンコースには100メートルごとに標識が設置されていたので自分の正確な歩幅や時速を測定をしながら歩きました。私の歩幅は100メートルを118歩で歩きますので84.7センチという事になりますし、時速は100メートルを62秒で歩きますので時速5.8キロという事になります。この値を記録しておけば次回に加古川に来たときに歩幅やスピードの変化を実感できるのが楽しみです。一般的にはもっと筋力がつけば歩幅や時速は増加するはずです。ちょっとした事ですが来年また加古川に参加するのが楽しみになってきました。

のんびり音楽を聴きながら歩いていたらコースの途中でふらのっちとしおじちゃんにパスされました。としおじちゃんはしっかり下関の歩会の旗を背中に挿してのアピールウォークでした。ウォーキングの最中は先行するウォーカーのゼッケンやプラカードに目が行きます。速歩の方が最後尾から出発してみんなにアピールしながら先頭でゴールするというのは、ある意味ではお金がかからない素晴らしいプロモーション手法だと思います。どちらにしろ二人とも私にはとても維持できないすごいスピードであっと言う間に見えなくなってしまいました。コツコツとトレーニングを積んでいつかは皆さんと一緒に歩いてみたいものです。

例によってコース解説は他のウォーカーのレポートにお任せしますが、名所旧跡を織り交ぜた素晴らしいコースで特に神戸製鋼の工場内を通るコースには驚きました。はるか向こうには高炉が見えます。鉄の加工は熱いうちに連続的に圧延しますのでキロ単位の長い工程が必要になります。これほど長く直線的な工場のラインを間近に見れるのはここしかないですね。ラインの冷却のためにシャワーが降り注いでいます。神戸製鋼をコースに組み入れた主催者の皆さんのご好意に心より感謝します。それぞれの地域で素晴らしいコースを歩いて感動できるのはまさにウォーキングの醍醐味だと言えるでしょう。

いつの間にかゴールに到着したらもうすでに先着メンバーがイエローシートに集まっていました。皆さんにご挨拶をさせてもらいました。今回は東松山でお会いできなかったおおしまさんとお会いできました。高崎で初対面でしたが、おおしまさんと私と歩く速度がほぼ一緒ですので大体コース内のどこかでお会いできるのですが、どうやら今日は私のペースが相当遅かったようです。やはり東松山の疲れが残っているのかもしれません。そういえば歩いている間にすねが痛み出してきました。東松山の時から少し痛かったのですが、なかなか回復してくれませんでした。

後にこの筋肉の痛みをYKさんに相談したところ、この筋肉はつま先を持ち上げる筋肉で、オーバースピードで歩くと痛くなる筋肉だそうです。すこしペースを落として歩くとすっと痛みが消えるそうです。さすがはYKさんですね。こうした経験豊富なアドバイスを聞けるのも駆け出し通勤ウォーカーには大変ありがたいものです。恐らくは東松山で息子のペースに付き合ったことで負担がかかったまま回復せずに加古川でちょっとオーバースピードで歩いた事が原因なのでしょうか。でものんびり歩いていたはずなのですが不思議です。

その後に行われた表彰式は正に狂喜乱舞の世界でした。ここで驚いたのはオッパーさんへの賞賛の多さでした。写真撮影の際にはCWに書き込みをしているメンバーだけではなく埼玉を中心に関東のウォーカーの皆さんから「オッパーこっちを向け!」という声がしきりにかかっていました。事務局側もそれを予測して表彰の順番を工夫していたようです。スーパーマスターという大切な区切りでしたのでとにかく盛り上がりました。オッパーさん本当におめでとうございます。

考えてみればJMLの15大会のうちのどこの場所でマスターやスーパーや金メダルの表彰を受けるのかは結構重要な問題です。ウォーカーのパスポートにはバーコードが張ってあり各自の参加情報はコンピュータにより管理されていますので、スーパーになったらその会場で表彰されるのが原則です。ウォーカーの心理としてはやはり地元で受賞したいと考えるのでしょうが、一般的には自分の地元は初期に参加してしまっていますので、スーパーの表彰は普段あまり行けない場所になるのが普通です。開催地によってはパーティーではなくステージで表彰する場合もありますし表彰式の形式も地方によって様々です。どの会場で受賞したとしても最もありがたいのは祝福してもらえる仲間が多いという事ですね。オッパーさんの受賞を見て自分も大会にコツコツと参加して一人でも多くのウォーカーと仲良くなって、いつの日にかオッパーさんのように多くの仲間に囲まれて受賞してみたいと思いました。

一日目は近くのサウナに出かけてゆっくりとクールダウンして早めに就寝しました。2日目はちょっと天気が悪かったですが歩くには全く問題のない天気でした。前日からのすねの痛みがあったので無理をしないで20キロコースを選択しました。昨日と同じ河川敷を通り水管橋を渡って湖のほとりを歩くコースをどんどん進んでいきました。チェックポイントのあるウェルネスパークに到着するとYKさん、ホホエミさん、オレンジ隊としおじちゃんいっちゃんとんぼさん、あさひさん、庵さん、千春さんたちと遭遇しました。ここからは団体歩行で案山子ロードを進みます。その途中で赤いひげ面の鬼の案山子があってその前でオレンジ隊のみなさんが記念撮影をしていましたが、そのヒゲ面の案山子があまりに私にそっくりだったの皆さんに大受けでした。

団体歩行の際にはYKさんとホホエミさんとご一緒させて頂きましたが、特に興味深かったのがYKさんに歩き方を伝授してもらった事でした。YKさんの歩く極意は「腕で歩く」だそうです。腕の振りはウォーキングの貴重なエネルギーだとの事。前後方向にコンパクトに強く振るのがポイントだそうです。よく腕を横やななめに振って歩いている人を見かけますがYKさんによれば「もったいない」歩き方でありエネルギーを無駄にしているとコメントされていました。また長距離ウォークの際のノウハウもお話頂きました。大切なのは休憩の際には座って休まないという事だそうです。ホホエミさんからも多くの歩くノウハウを教えて頂きました。普段はスピードが違いすぎてまず一緒に歩く事はないお二人ですが、こうして一緒に歩けたのは団体歩行のおかげです。

皆でワイワイと話しながら歩いたおかげであっという間にゴールへ到着です。ゴールではきたさんやかめさんふらのっちたちがイエローシートを広げてお待ちかねでした。あさひさん提供のケーキが本当に美味でした。ちょっと遅れてオッパーさんとmachyさんが無事完歩して合流です。みんなで楽しく今日のウォークを振り返って話はつきません。私もわずか2ヶ月ほどで皆さんのお仲間に参加させて頂けて本当に嬉しかったです。いつまでも話していたかったですがそろそろ帰る時間が近づいてきました。皆さんにご挨拶をして新幹線で家路につきました。

今回の大会は鳥海以来の久々の遠出になりました。北海道を拠点にする私が東京に単身赴任して週末に関西を歩くというスケールの大きな楽しみが実現できた訳ですが、どこの大会に参加しても仲間に囲まれている事が一番の幸せです。思えば鳥海は一人で参加して一人で寂しく東京に帰りました。それと比較すると今回の加古川はすばらしい大会になりました。新幹線の窓の外を眺めながら来年また来ようと心に誓いました。

今回のレポートはこれでおしまいです。

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