■第3章 トレーニング開始

・まずはマメをクリア

まずは手始めに50km歩くと体にどんな変化が現れるのかを見際めるために何も対策せずに50km歩いてみました。当然足にはマメが出来るし筋肉も痛くなるという状態でした。しかし重要度から考えて筋肉の疲労はよりも先にマメの対策をしようと思いました。マメが出来ることで無理な歩き方になってしまい筋肉や関節のトラブルにまで波及してしまうからです。

まずはディクトンの使用を止めて自分のマメが出来やすい場所を中心にテーピングをしてみたところ、今度はテープの張っていない場所に小さなマメが出来てしまいました。しかしだんだんとテープを張る範囲を広くして張り方も上手になってきたのでかなりマメができなくなってきました。

これと同時に思い切りスピードを落として歩いてみました。今までは時速6キロを基準に歩いていましたが、かなり落として時速5キロ程度を目安にしてみました。これが思ったより効果があったのです。歩いている感覚としてはダラダラと歩いている感じですが、あんなに苦労していたマメも全く出来ず、筋肉も大変に調子が良いのです。要は今までは自分の実力以上のスピードで歩いていたということなんですね。

次の段階では普通のスピードで歩きながら筋肉が痛くなったりマメが出来そうになったら少しペースを落としてみるという方法で歩いて見ました。これも大変効果的でした。ゆっくり歩いている時は歩きながら体や足が回復している感じです。

今までの私はゴールに向かってわき目も振らず一心不乱に向かって行ったのですが、ちょっと視点を変えると新しい世界が見えてきますね。ウォーキングには順位が無いという特質を全く無視していた自分が情けなかったです。楽に歩く秘密は意外と単純な事だったのです。

最終的にはテーピング技術の向上と緩急ペースコントロールのおかげで50km歩いても全くマメが出来なくなりました。ディクトンも全く不要になりました。今まで悩んでいた自分の弱点であるマメを克服できたのです。これで自分の歩きに少し自信をもつ事が出来ました。

・ゆっくり歩くために

なぜか今まで染み付いていた時速6キロペースよりも遅く歩くのはかなり難しいです。いつのまにかスピードがどんどん出てしまうのです。いろいろ理由を考えたところ歩いている最中に聞いているヘッドホンステレオの音楽が悪いことに気がつきました。音楽の影響で歩くスピードが決められていたのです。

私は歩いている際にイヤホンで70年代のディスコ&ロックを聴くのが大好きですが、これらの音楽のリズムの殆どは♪120位なのです。このリズムはちょうど1秒間に2回のリズムを刻むので自然とそのリズムに合わせて足を動かしてしまっていたのです。私の歩幅は84センチですので計算すると時速6キロぴったりになります。この種の音楽を聴きながらもっと遅いスピードで歩くには音楽のリズムとは別なリズムで足を動かさなければならなかったので違和感があったわけです。

早速♪110程度のバラードやクラシックなどを用意して歩いてみたところ意図通りに歩く早さをコントロールする事ができました。その後で思い切って音楽を聴かないで自然の音を楽しみながら歩いたところスピードのコントロールがとても簡単になってしまいました。ウォーキング中に自然を楽しむという楽しさを全く無視していた自分が悪かったのです。

また私のいつも利用している歩数計もゆっくり歩く事を妨げていたようです。私の歩数計は有酸素運動の時間を表示してくれる優れものでダイエット目的には大変便利なのですが、問題は1分以上連続して止まってしまうと有酸素運動の計測が10分間止まってしまうのです。ですから自然と赤信号でなるべく止まらずに歩こうあるいは休まないでなるべく連続して歩こうという気分になってしまいます。ましてやストレッチや休憩で1分以上歩く事を止める事に大きな抵抗を感じるようになります。

確かに体脂肪を燃焼させる目的であればこうした歩行スタイルは大変効果的なのですが長距離ウォークには逆効果となってしまいます。それに気がついた私はヘッドホンステレオと歩数計を持たずにのんびりと歩くスタイルしてみたところ50kmのトレーニングを平気でこなせるようになりました。歩いている最中の心理状態のコントロールが重要な要素になったわけです。なんとウォーキングとは面白いものでしょうか。

・疲れを次の日に残さないために

トレーニングを開始した当初は50kmを歩くと翌日は確実に筋肉痛に悩まされていました。四日間にわたり余裕で歩き続けるには翌日筋肉痛になってしまっては話になりません。サロンシップなどで痛みをとっても疲労は蓄積されていくので翌日以降さらにひどい状態になりかねません。この問題を解決するために試した方法がストレッチとビタミンB群サプリでした。

まず筋肉を十分に伸ばして疲労物質をすばやく運び去ってもらうためのストレッチを定期的に行うようにしました。私のとった方法ですが毎偶数時になったら無条件でストレッチを行うという自分なりのルールを決めて確実に実行するようにしました。調子よくスイスイ歩いていると区切りが良い所までは歩いてしまおうという心理が働きます。ストレッチはもうちょっと歩いてからでいいやと思ってしまいがちです。こうした心理はストレッチをおろそかにしたり忘れてしまう事に繋がります。

ビタミンB群は筋肉の疲労回復に高い効果があります。ビタミンB群サプリも安価でどこでも入手できるので大変便利です。ただ問題はビタミンB群は3時間程度で代謝してしまうので高濃度のビタミンB群を一度だけ飲んでも意味が無いということです。少しずつ2時間おきに飲むのが理想ですのでウォーキングに持ち歩いてストレッチと同時に飲むようにするとさらに効果的です。飲むと明らかに筋肉の疲労感や翌日の筋肉痛が緩和されるのが実感できます。私は値段も安価で一粒のビタミンB群の含有量が適量なので一粒ずつ2時間おきに飲む場合に使いやすいFANCELのサプリを利用しています。もちろんどの会社の物でも結構だと思います。

・アフターケア

歩き終わった後には欠かさず入浴します。サウナならより効果的です。血行が良くなって筋肉から疲労物質を運び去るスピードも速くなります。ビタミンB群の効きも良くなりますし、物理的に筋肉もほぐれます。入浴は最高の筋肉へのいたわりではないでしょうか?

特に足はきれいにする事が大切です。まめが出来ていないか点検したりストレスがかかった足の裏をマッサージすることで皮膚のダメージの回復をして翌日以降にマメを出来にくくする効果もあります。また水虫の発生を抑止する目的もあります。

重ねて言うようですが絶対にシップや鎮痛剤を使ってはいけません。このトレーニングの目的はこれらの対処療法が必要の無い歩き方を身に着ける事なのです。つまり痛くならないように歩くという事です。そうなれば四日間を楽々と歩けるようになるはずです。

また下手にマッサージをするとそのマッサージによって一時的に痛みが取れたように感じますが、筋繊維が回復するわけではありません。また逆に必要以上に強いマッサージはなおさら筋繊維にダメージを与える危険があります。もしどうしてもマッサージするならごく軽くさする程度で十分です。

結局は体と精神をどうマネージメントするかという事が重要だと思います。体をいい状態に保ち、それを四日間「壊さずに」歩く精神力を持つ事が大切です。こうしたトレーニングのおかげで土日で50kmずつ計100km歩いても全く疲れが残らないようになってきました。結局トレーニングの総距離は500キロを超えました。気がつけばいつのまにか体重も80キロ前半まで落ちていました。

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