■第8章 フォーデーマーチ二日目

 軍隊の皆さん

二日目の朝も真っ暗です。バス停で昨日も会ったベテランウォーカーと若者二人と挨拶を交わしました。会場に到着していよいよ二日目のスタートです。昨日の経験もありスタートの渋滞をスムーズに切り抜けて10分程でスタートできました。秘密はスタートは4ヶ所あるので一番人が少ないスタートに並んだだけです。二日目から四日目までは出発直後に南に向かうコースとなります。

私はいつも一定のペースで歩きますが全体のペースは昨日よりも若干遅いようです。それでも最初はどんどん抜かされていきますが30分もすれば自分と同じペースで歩く人が集団を形成してぐっと歩きやすくなりました。市内のメインストリートの4車線道路と歩道を独占して歩く気分は最高です。朝も5時だと言うのに相変わらず沿道からの応援は止むことはありません。

程なく迷彩服の各国の軍隊のグループと一緒になりました。オランダ軍はもちろんイギリス軍やドイツ軍やスイス軍などの色々な国の陸海空軍や各国の警察が十数人単位で整列して元気に行進していきます。それぞれ10kgもある大きな装備を背負って声を出して足並みを揃えて行進する様は実にかっこいいものです。

特に軍人さんの人気は高く沿道の応援も軍人が通りかかるとひときわ盛り上がります。子供たちも軍人さんとタッチしたくて寄ってきます。やはりヨーロッパの諸国では軍隊は大変身近な存在であり自分たちの軍隊を誇りに思っているようです。幼少の頃から軍隊のかっこよさをアピールする事で自然とリクルートにつなげていくのでしょう。軍隊側も声援にちゃんと答えて子供たちのタッチの要求に快く応じている姿が随所で見られました。

また各国の警察も同様に大勢が参加して軍隊と同様に歓迎を受けていました。軍や警察は必ずステッカーを持参して応援してくれたお礼に子供たちに配っていました。たいへんきめ細かい対応ですね。私も来年にはなにかお返しが出来るようなアイテムを持参しようと思います。

道中で雨が降ってきましたが折畳みの傘で凌ぎました。雨が降っても沿道の応援は全くひるみません。応援の方々も傘を取り出して雨をものともせず応援をしています。応援のパターンは色々ですが通過する街では大体はブラスバンドがずっと音楽を演奏しています。ブラスバンドが無い街ではロックバンドやポピュラーバンドまたDJが音楽を流しています。タンバリンや笛などの鳴り物を鳴らして応援したり、プラカードを見せたりと楽しいものばかりです。

またふるまいも多く水はもちろんキャンディー、マシュマロ、ビスケット、サンドイッチなどを配っています。またウォーカーが休憩するための椅子を準備している家がとても多いので助かります。

こうしたポイントを利用する時は「座って良いですか?」とか「もらって良いですか?」と一言かければ気持ちよく応じてくれます。でもお礼はなにも持ってきていないので笑顔でありがとうと言うしかありません。二日目はサングラスをホテルに置いてきました。自分には素顔で微笑みかける事しか出来ないのでサングラスでは失礼かなと考えたからです。二日目のコースの後半は沿道の応援が多くて切れ目がありません。沿道の方々の声援に答えているうちにあっという間にナイメーヘンの町に戻ってきました。

観客が多くて通れません・・・

ナイメーヘンに入ってからの応援はまさに圧巻でした。街一番の繁華街の中を歩くので沿道には信じられない数の人々がビール片手に盛り上がっているのです。恐らく昨晩から今日にかけて夜通しで町全体のイベントがあったのでそこから流れてきた方々が大いに盛り上がっていたのでしょう。とにかくウォーカーの通る通路が狭くなって歩きにくいのですが、その分すごい声援でとっても気分が良いです。人をかき分けてやっとゴールできました。

日本時間のリズムを保持するためにはゴールの直後に夕食をきっちり食べて夕方にはホテルに戻らなければなりません。昨日偶然に入ったイタリアンレストランでがっちりと夕食を取りました。このレストランはイタリア人が経営している店でナイメーヘンでは一番古いイタリアンレストランだそうです。ネイティブな本物のイタリア料理を出してくれます。偶然にもこの店の前の道がコースなので夕食を食べながら沿道の観客の気持ちも体験する事ができました。

沿道の観客の気持ちになって応援してみると次々と歩いてくるウォーカーのバリエーションが豊富で見ているだけでも飽きません。カラフルなウェアや各国の国旗が目を楽しませてくれます。私もなにか観客を楽しませる物を身に付けてくれば良かったと思いました。また何と言っても声援を送ってそれに答えてくれた時は何だかとっても嬉しいものなのです。逆の立場になって初めて応援する人々の心理を理解できました。おかげで明日はもっと声援にちゃんと答えようと思いました。

昨日同様にバスでホテルに戻り風呂、洗濯、ビタミンを補給し、ディクトンで足をケアして、メールを処理して、じっくりストレッチしてから床につきました。67270歩でした。二日目が終わった感想としては全く疲れていないのがびっくりです。明らかに去年日本スリーデーで50キロを2日間歩いた後よりも疲れていません。なぜ疲れないのかちょっと考えてみました。

まず第一の要因としては道が歩きやすいのだと思います。ナイメーヘンでは大部分のコースは車道を歩きます。つまり段差が殆ど無いので楽なのです。日本ではどうしても歩道を歩きますので車道との段差を乗り越えることが多いのですが、これがかなりの負荷になっている感じです。特に長距離ともなればこの負荷が蓄積して大きな疲労になるのかもしれません。また信号が無いので完全にノンストップで歩行できます。また高低差が殆どありませんので完全に平らな土地を歩けるので楽です。また沿道の応援に答えることで退屈しないというのも大きな要素だと思います。

これで半分が終了したのですが、なにか完歩出来そうな気配が少しだけ見えてきた感じです。午後6時に寝ました。

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